「鉄骨」より「木造」をおすすめするわけ

木造建築のイメージ画像です

建物の構造は、「木造」「鉄骨造」「鉄筋コンクリート造」「鉄骨・鉄筋コンクリート造」の4つ。

この中で一般的な住宅に多く使われるのは、柱や梁などの主要構造部材に木材を用いる「木造」と

骨組みに鉄骨を用いる「鉄骨造」です。

 

では、「木造」「鉄骨造」にはどんなイメージを持たれていますか?

見た目の印象では

「木造」は温かみがある、和風。「鉄骨」は無機質、洋風。という感じでしょうか?

でも実際には鉄骨でも温かみのある和風のお家は作れますし、木造でもオシャレな洋風のお家は建てられます。

 

 

プロが見ても今の技術だと外観だけでは、どちらか判断するのは困難だと言われています。

例えばあなたが上記2枚の物件を見せられて「こちらは木造です」と言われたら木造だと感じるのではないでしょうか?

 

このように外装や内装を施してしまうと、構造までは分かりづらくなる「木造住宅」と「鉄骨造住宅」。

では、どのような点で選べばよいのでしょうか?

 

間取りの自由度が高いのは「鉄骨造」

木造住宅はたくさんの木を使うことで強度を高めています。

それに比べて、「鉄骨造」では柱や梁の本数を少なくすることが出来るため、

開口を大きく取ったり、リビングなどに大きな空間を作ったりすることが可能となります。

 

断熱性は「木造」。寒冷地では「鉄筋造」の家は建たない?!

「寒冷地では鉄骨造の家を建たない」と言われますが、それは鉄骨造の家は寒いから。

鉄骨造であっても木造であっても、断熱材を柱や梁の間に充填したり貼り付けたりすれば同じだと思われるかもしれませんが、熱の伝わり方に大きな違いがあるのです。

鉄は木に比べて、圧倒的に熱伝導率が高いという性質があります。

構造が鉄骨だと、室外の暖気・冷気が鉄に伝わり、それが室内まで伝わってしまうのです。

そうすると、夏には冷房、冬には暖房の効率が悪くなることに。

特に厄介なのは冬の「冷気」です。

 

冷やされた鉄が室内の暖かい空気を冷やすことで「結露」が発生します。この結露によって湿った断熱材が壁の間でずり落ちたり、天井にシミを作ったり、カビの原因となったり。

鉄骨に冷気を伝わらせない対策として、吹き付けタイプのウレタンフォームで鉄骨自体を包む方法や、建物全体を外から断熱材で覆う「外断熱」という方法が挙げられます。

ただ、一般的な断熱と比べるとコストがかさみます。

このように、施工費用や省エネの面から見ると「木造住宅」がおすすめと言えるかもしれません。

 

「木造」と「鉄骨造」どちらが頑丈?!

地震のイメージイラストです

単純に同じ太さの「木」と「鉄」の強度を比べるともちろん強いのは「鉄」です。

では「木造」と「鉄骨造」では地震に対する性能に違いがあるのでしょうか?

 

耐震等級

建物の強さを表す指標として、住宅性能表示の耐震等級があります。

建築基準法の範囲内を等級1、建築基準法の1.25倍の強さを等級2、建築基準法の1.5倍の強さを等級3として、3段階の等級が設けられていますが、

これは「木造」「鉄骨造」などの建材の種類による違いはありません

同じ等級なら同程度の強さが保証されており、等級2の「鉄骨造」もあれば等級3の「木造」もあるというわけです。

 

耐震等級は以下のように定義されています。

耐震等級1  建築基準法(法律)と同程度
耐震等級2  等級1で想定する地震の1.25倍に耐えられる
耐震等級3  等級1で想定する地震の1.5倍に耐えられる

 

建築基準法と同程度の住宅とは、

・数十年に一度発生するであろう中規模の地震(震度5程度)に対して、ほとんど損傷しない
・数百年に一度発生するであろう大規模地震(震度7程度)に対して、倒壊・崩壊しない耐震性がある

というもの。

つまり現行の法律で建てられた住宅は、「木造」「鉄骨造」に関わらず震度7程度の揺れに耐えられるということです。

 

「木造」より「鉄骨造」の方が揺れが大きい

「木造」と「鉄骨造」とでは、揺れ方に違いがあります。それは重さが違うから。

同じ大きさでも重い建物ほど、地震が起きた時には大きく揺れるのです。

建物の重さは、鉄筋コンクリート構造>鉄骨構造>木造の順。
ちなみに鉄筋コンクリート造の建物は、木造と比べると約5倍の重さにもなります。

 

また、木造住宅はしなやかで柔軟性があり、地震の揺れを吸収しながら逃すことで損壊を防ぐことができます。

元へ戻ろうとする復元力があることも木造住宅の優れている点です。

 

建築コストは「木造」の方が安い

建物の建築コストについては、木造の方が安く、1坪あたりの平均単価は40~60万円。鉄骨造は50~80万円というのが一般的な相場です。

 

まとめ

現在建てられている住宅の7割は木造住宅。

日本の建物は昔から木造が主流でしたが、それは多湿で地震が多いという気候風土に木造建築が適しているからです。

コストや施工期間、環境面などを考えても、「木造」は大変優れた工法と言えるのではないでしょうか。

 

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