新築やリフォームをするなら耐震性・耐火性のある住まいにしよう
災害を機に望まれるようになった住まいのニーズ
2011年に起きた東北地方を震源とする震災以来、新築およびリフォームをするときに耐震性を求める風潮が大きくなっています。
それは2011年以前の設計で作られた家では震度7以上の揺れに対して対応しきれていないタイプが多く、次に東北地方の震災クラスの地震が実際に起きると、耐えきれずに倒壊する恐れがあったからです。
さらに耐震性と同じく震災が影響しているものとしては、耐火性のある住まいも望まれているのです。
これは1990年代に起きた阪神淡路大震災の時に火災が多く発生していたことが起因します。当時、朝食を作っている最中に起きたことによって、使用していた火が家の中のものに燃え移り何軒も全焼してしまったことで逃げ遅れる人が多かったのです。
住まいとは本来、そこで暮らす人が安心して過ごせる場所のはずです。それなのに災害への対策がなされていない住まいでは、その役割を担っているとは言えません。
災害は常に隣にあります。新築及びリフォームをする計画があるのであれば、ぜひ室内の住み心地や見た目だけでなく、耐震性と耐火性にもこだわった家にすることを推奨します。
耐震性のある家とはどんな家なのか
耐震性のある家にしたいと思っていても、実際にどのような技術が使われているのかは、知らない人も多いですよね。
耐震性のある家に用いられる技術として現在主流になっているのが、通常の建築材で組み立てられた中に別の素材を組み合わせて建築する「オイルダンパー制震システム」です。
地震で住まいが倒壊する理由の多くは横揺れではなく、縦揺れ。大抵の地震は横に大きく揺れますが、これが縦方向にも揺れる状態になるとエネルギーが増大し耐えられなくなることで倒壊が起きるのす。
2011年以前の家の多くも横揺れに対しては対応している家が多かったのですが、地震でも発生がまれな縦揺れに対しては対応していませんでした。その縦揺れの地震というのが、何度も言うように東北地方で起きた地震に当たります。
そこで「オイルダンパー制震システム」では、その”まれ”な縦揺れの地震にも対応するために合成鉱物オイルで構成されたダンパーと呼ばれる部品を、家の骨格に当てはめていきます。
通常の建築材による骨格に補充する形で地震のエネルギーを吸収・分散するダンパ―を取り入れることによって、横揺れだけでなく縦揺れのエネルギーも十分に分散できるので倒壊の恐れを低くできるのです。
大地震で建物が変形する際、外壁が躯体に完全に固定されていると、ひび割れや脱落の原因となります。そこで開発されたのが「ロッキング工法」。
この工法では、外壁パネルが躯体に完全に固定されないので地震の際には、建物の変型に追従して動きます。地震の揺れに逆らわず一緒に揺れて力を受け流すので外壁がひび割れたり脱落することもありません。
耐火性のある家の最新技術
地震が起きた時の被害で倒壊によるけがよりも多かったのが、電気のショートや台所などの火が可燃物に引火したことによる火災の被害です。
そこで家の中にある可燃物から住宅本体への燃え移りを防ぐ目的で考案されたのが、通常のコンクリート壁に一工夫加えた「ALCコンクリート」と呼ばれる新素材になります。
「ALCコンクリート」は通常のコンクリートの中にアルミニウム粉末や珪石を加えたもので、これらは高い熱を加えると気泡を作るだけでなく気泡の周りに強い膜を作るのが特徴です。
火災の燃え移りというのは、火の熱が壁を通り越して内部の木材に伝わり発火することで起きます。そこで壁に直接火が襲ってきたときに、この建材の特徴である空気の層によって高温を分散して木材が燃えるのを防ぎ、さらに強い膜によって火が燃え移らないようにしてくれるのです。
家を建てる前に起こりうる被害を想定しよう
2011年の震災を契機に、これまでの住まいの設計図を見直し、耐震性・耐火性に優れた新しい技術を誕生させることで安心できる住まいが続々と生まれています。
これから新築やリフォームする時には耐震性と耐火性の両方の特性を持った家にするのがベストでしょう。ただ両方とも完璧を目指そうとすると最新技術であるため通常よりも予算がかかってしまうというデメリットがあります。
予算の都合によっては安心な家を諦めなくてはならないのでしょうか?
ここで重要なのは事前に住む場所の特性を知っておくことです。もし過去の歴史から地震の多い地域であれば、火災よりも地震に対して強い家にすることを重視するべきでしょう。
地震は少ないが、周辺の環境を見てみると古い木造住宅が多かったり家が密集しているなど、火災が起きると被害が大きいと判断すれば、地震対策よりも耐火性のある家の方にかじを切った方が良いかもしれません。
このように家を建てる前に住む場所の環境を知っておくことによって、安全性のための予算をうまく活用することができます。
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