「新築」っていつまで? 定義上の期間から“未入居物件”

新築の物件に入居したい!このように考えて新築物件を探されていると、まれに未入居物件という表記の物件が出てくることがあります。…ということは新築なのでは?と思われるかもしれませんが、実は定義上「新築物件」と「未入居物件」には違いがあります。

ここでは新築物件と呼ばれるのはいつまでなのか?という定義上のギモンに対する答えから、未入居物件の意味までをご紹介していきます。

新築物件が新築でいられるのは1年間まで!

一戸建て物件しかり、マンションしかり、完成直後の状態である新築。文字通り新しく建築された建物であり、一般的にはまだ誰も使用していない物件という認識ではないでしょうか。

 

ではこの新築、ずっと入居者がないままの場合もずっと「新築物件」という呼び名なのでしょうか?実は違います。新築物件と名乗ることのできる定義は、大原則として下記の条件が揃っていることが必要です:

 

  • 新しく建設された住宅であること
  • まだ誰も住んでいないこと
  • 建設工事が完了した日から計算して1年間が経過していないこと

 

つまり、たとえ入居者が入らずそのままになっていたとしても、工事が完了してから365日が経過しても入居者が入らなかった場合、自動的にその物件は新築物件ではなくなってしまいます

 

この場合、物理的には新築ではあるものの「住宅の品質確保の促進等に関する法律」という法律の定義上は、新築物件ではなくなってしまうというわけです。

 

ちなみに、非常に極端な例ではありますが新築物件に誰かが入居し、仮に三日間で退去した場合、これも新築物件とは言えなくなります。

 

つまり不動産情報などで新築物件と表記されているものは文字通りの新築であり、建設完了から1年間が経過しておらず、さらに誰もまだ住んでいない物件ということになるわけです。もちろん、これは賃貸物件でも同じことが言えます。

未入居物件とは?

先ほどまでにご紹介した通り、新築物件は工事の完了から1年以内の物件で、まだ誰も入居していない物件を指します。

 

つまり未入居物件は新築という定義には当てはまらず、工事完了後1年以上は経過しているものの、物件完成から今に至るまで誰も入居したことがない物件という意味合いになります。

 

そのため、誰も入居したことのない物件を探している、という場合は新築物件以外にも未入居物件を探すという選択肢もあるわけです。

 

ただし、物件の売買に関しては未入居物件という表記を見た場合、新築物件よりはチェックポイントが増えるといわざるを得ません。適切な情報を仕入れることが買い手側にとっては非常に重要です。

 

なぜなら、完成から1年未満の新築物件は元来非常に人気が高く、1年以上買い手がつかない場合、何かしらの事情があるケースも中には存在するからです。

 

未入居物件となってしまっている物件には工事完了後、新築と呼ばれる期間内に何回か引き合いがあったものの、住宅ローンの審査やその他様々な事情によって売買契約まで至らず、結果的に1年間が経過したために未入居物件という表記にせざるを得ないケースもあります。

未入居物件に法的補償はある?

法的な定義で見ると未入居物件は新築物件ほど法的な補償がありません。新築の物件の場合は様さまざまな法律に基づいて、そもそも物件の性能上明らかな瑕疵(欠点)がある場合、補償を受けることができるケースがほとんどです。

 

これは法律に定められていることから法的な権力があります。

 

一方で未入居物件の場合はこういった法律上の保証がなく、場合によっては瑕疵担保責任を売主が追わないという契約になってしまうケースもあります。

 

その他、周辺の新築物件はコンスタントに成約しているにもかかわらずその物件のみが1年以上買い手がつかないことにより未入居物件という表記に変更となっている場合は少しチェック項目を増やす方が良いでしょう。

 

いずれの場合でも、新築物件ではなく未入居物件という表記の場合は、不動産会社にどのような経緯や事情で未入居物件になっているのか、きちんと確認を取ったほうが良さそうです。

 

特に物件購入を検討している場合は非常に大きな買い物であることや、その後その物件にお住まいを移す、ということを考えるとこういった部分まできちんと説明をしてくれる業者とお付き合いをした方が安心です。

 

場合によっては未入居物件についてハウスメーカーや業者がオリジナルの保証をつけてくれるケースも中にはありますので、こういった条件などについてもよく確認をしておくとよいでしょう。

まとめ

新築物件を探している際に見かける事のある、未入居物件。こちらは物理的な部分から見れば「新築」なのですが、法的な観点から、工事完了後1年以上が経過しているため未入居物件と表記されているというわけです。

ちなみに新築の物件であっても未入居物件という表記であっても、誰かが1日でもそこに居住した履歴があれば、それらは全て中古物件という扱いになることも覚えておきたいところです。