不動産のプロが家を買う際の注意点と購入物件の選び方を教えます
住宅購入で失敗しないためには、物件を評価するポイントを知っておくことが重要です。
ここでは、戸建て住宅の選び方をマンションと比べながら考えてみましょう。
また、見落としがちな ”使い勝手” についても例を挙げて解説します。
戸建て住宅の特徴は?マンションと比べてみよう!
戸建て住宅の特徴を知るために、マンションと比較して、その主な違いを考えてみましょう。
まず戸建て住宅は専用住宅であり、マンションは共同住宅です。
加えて、以下のような違いもあります。
1、専用庭の有無
戸建て住宅には専用の敷地があるため、広さによっては専用の庭を設けることができます。
マンションは区分所有になるため住戸以外は共用部分となり、専用で使える庭はないのが一般的です。
たしかに、屋上部分が菜園になっていて、それぞれの住戸ごとに一定の区画が割り振られているマンションがあったり、1階住戸の前に庭が設けられている場合もあります。
しかし、このスペースは「専用使用権が認められた共用部分」という定義となりますので、用途が限定されていることも多く区画を自由に使えるわけではありません。
2、床面積あたりの単価
戸建て住宅は、住宅をつくるために必要な構造や設備がその住宅だけのためにワンセット必要です。
それに対して、マンションは共用できる部分が多く、その分床面積を広く取ることが可能。
そのため、床面積あたりの購入単価はマンションの方が抑えられる傾向にあります。
3、音に関しての生活の自由度
壁の向こうに隣人が住んでいるマンションと比べると、単独で建つ戸建て住宅は、音の問題がずいぶん緩和されます。
よっぽどのことが無い限り、話し声や足音がうるさいといった迷惑をかけることはありませんよね。
ピアノのような大きな音の出るのもを置きたい場合でも、戸建であれば遮音処理された部屋を1つ用意することで、隣人からの苦情の可能性は減るでしょう。
しかし、上下階や左右に隣人が住むマンションで同じ遮音性能を確保するのはコストの面から現実的ではありません。
鉄筋コンクリート造のマンションであれば遮音性能が高いと思われがちですが、
意外とそうでもないのです。
遮音性能は、壁の厚さとその素材、仕上げ材の吸音性能などによって決まります。
鉄筋コンクリート造だからといって、すべての壁・床・天井に遮音性を考慮した十分な厚さが設定されているわけではありません。
お隣との戸境壁が、コンクリートの上に石膏ボードを張り、その表面をクロスで仕上げるGL工法の場合は、コンクリートと石膏ボードのわずかな隙間で音が共鳴してしまうことも。
フローリングの素材によっても吸音性能はずいぶん違います。
このように、マンションの構造だけでは遮音性能は判断できないのです。
実際に、遮音性能を高めた壁を持つマンションもありますが、建設コストが上がり物件価格に反映されてしまう点は買い手にとってデメリットですよね。
見落としやすい住宅選びの2つの注意点
住宅選びの際に見おとしやすい重要なポイントを2つ確認しましょう。
特に、耐震診断などの客観的な指標が明示しにくい”使い勝手”について考えてみます。
1、廊下の幅
一般的に間取りを考えるときには、リビングや寝室などの居室の広さを気にする人が多いでしょう。
しかしながら、全体の面積が決まっている場合、居室を広く取れば取るほど、当然その他の部分が狭くなります。
洗濯室や浴室などは、ある程度面積が必要なので、結果的に廊下を狭くするケースがあるのです。
木造在来構法で一般的な910mmを単位とする「尺モジュール」を採用していれば、廊下の幅はほぼ決まっています。
柱の中心同士の距離が910mmの場合、壁の厚さを引くと実際の幅(「有効幅」といいます)は780mm程度です。
これに対して、自由な設計が可能な鉄筋コンクリート造などであれば、尺モジュールを使う必要がないため、廊下幅は自由に設定できます。
デザイン的な観点から極端に狭い廊下にすることも可能なのです。
このような場合には、「どのようなコンセプトでそうなっているのか」を設計者とよく相談し、
生活する上で不自由が生じないかしっかりと確認するようにしましょう。
建売住宅であれば内覧のときに実感できるのですが、注文住宅の場合は図面から読み取るしかないため注意が必要です。
廊下の幅は、同居する家族の人数や将来的な構成の変化も考えて決める必要があります。
2、浴室周りの断熱
特にリノベーションされた中古住宅で注意が必要になるのがこの ”断熱” です。
一般的に、マンションと比べると戸建て住宅は断熱性能が低くなりがち。
なぜなら、外気に触れる壁や窓の面積が多く、冷たくなった空気が室内に流れ込むためです。
しかも、築年数の古い戸建て住宅の場合は、断熱の対策が不十分な場合が多く、冬の寒さがしばしば問題になります。
特に、浴室や脱衣室などは建物の北側に配置されるのが定石で、冬期の日射量が極端に少ない部分です。
さらに、内装材料にはタイルやコンクリートなどを使っており、浴槽や湯沸かし器は外気に接しているため、寒い時期には最も気温が低くなる場所といえるでしょう。
モダンな内装にリノベーションされていると、いかにも快適そうに見えますが、断熱対策が取られているかどうかはしっかりチェックしなければなりません。
浴室の窓がペアガラスのサッシに変えられていたり、既存の窓の内側にもうひとつ窓(内窓といいます)が設置されていたりすると断熱に効果的です。
浴室の床に関しては、コンクリートにタイル張りの場合、リノベーションの際に断熱材を打ち込んで再施工してあれば、ほぼ完璧です。
脱衣室についても、浴室同様の窓の改修をチェックします。
同居者に高齢者がいる場合は、ヒートショックを和らげるために暖房設備を併用することも必要でしょう。(ヒートショックとは、急激な温度変化で血管の収縮が起こって血圧が上昇する現象です。)
冬期の寒い脱衣所と熱い浴槽を行き来していると、ヒートショックを起こして心臓発作や脳血管障害の原因になることがあります。
事前の情報収集で失敗を防ごう
戸建て住宅は、一生のうちで何度も買うようなものではないため、要領がわからないのが一般的ですよね。
失敗しない住宅購入の秘訣は、下調べを徹底して行うことです。
ネット上では、検索すればかなりの情報を得ることができるでしょう。
また、書店に行けば、より詳細な情報が掲載された住宅関連の書籍が入手可能です。
それでも不明な点は、専門家に相談してみる手もあります。
積極的に情報収集をして理想の物件を手に入れましょう。
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