最低限チェックしておきたい事一覧!不動産売買の基礎知識
不動産を購入する際には、「これだけはチェックしておきたい」というポイントがいくつかあります。
物件の状態や環境、法律や権利などのチェックポイントと、
チェックする時の注意点を紹介しようと思います。
周辺環境
物件からの交通アクセスは?学校やスーパーなどの生活施設までの距離は?
自分にとってあまり好ましくない施設はない?
新しい生活を始めるうえで、周辺の環境は極めて重要です。
現地へ何度も足を運び、状況をしっかりと確認しましょう。
その場合は、曜日、天気、昼・夜など異なった条件での確認が大切です。
平日と祝祭日とでは、車の交通量や騒音がずいぶん違っていたりしますし、雨の日の水はけの様子も知りたいですよね。
明るい時は気づかなかったけど、夜に歩いてみると思ったよりも暗くて不安を感じるということもあるかもしれません。
お子さんの多いマンションなどでは、敷地内で遊ぶ声が気になるという人いますので、そういった点も確認しておきましょう。
不動産広告などで「駅より徒歩〇〇分」といった表示をよく見かけますが、これは規約で80mを1分として計算することになっています。(80mに満たない場合は繰り上げるため、例えば810mの場合は11分となります。)
この場合、坂道や信号の待ち時間は考慮されていませんので注意しましょう。
実際に自分で歩いてみると、上り坂や信号・踏切で意外と時間がかかることもあります。
また、電柱の位置やごみ置き場については案外見落としがちです。
これらの状況によっては、せっかく土地を購入しても思ったようなプランで建物が建てられなかったり、
ごみ置き場の近くに駐車場を作ってしまい、思うように車の出し入れができないという事になるかもしれませんので確認が必要です。
地形・日照・方位など
土地の面積は広くても、その地形によっては思うような規模の建物が建てられない場合がありますし、
南側に道路が接しているから日当たりが良いだろうと思っても、道路が狭くその向かい側に高い建物が建っていたりすると陽当たりは望めません。
このように、地形・日照・方位・周辺の建物の確認は重要です。
地形と方位は図面でも確認することができると思うかもしれませんが、不動産業者が作成した図面は概略図面であることが多く、方位などが正確でない場合もあります。
土地家屋調査士が作成した正確な図面を入手して確認するか、方位磁石を持参して実際に現地で確認した方が良いでしょう。
また、自身で建物の建築を依頼したり、工事完成前の物件を購入する場合は、日照や眺望がどのようになるか、設計図や日照図を基に詳しい説明を受けることが大切です。
周囲に広い空地がある場合は、風通しや陽当たりが良いと思うかもしれませんが、
そこに高層のマンションなどが建築される可能性もありますので、その土地の利用計画についても事前に確認しておくことが必要です。
面積
登記面積(登記簿に記載されている面積)と、実測面積(実際の面積)は違っている場合が多くあります。
土地を登記面積で売買する場合は、後で実測面積と差異があることが分かっても売買代金の清算は行われません。
ですので、実測面積が登記面積と大きく違っていないか事前に確認することが必要です。
境界
隣地との境界がどのようになっているかは、土地の取引においてきわめて重要です。
しかし、境界線そのものが土地の上に明確に表示されているわけではありません。
境界を確認する図面として公図が多く使われていますが、公図は、そもそも地租の徴収を目的とした土地課税台帳に基づいて作成されたものであるため、土地の大まかな位置や形状を表しているだけであって、現況と異なる場合が多いのです。
そこで、土地の購入にあたっては地積測量図の有無を確認することが必要です。
地積測量図の作成には、隣地所有者の立会いが必要となりますが、立ち合いに関する署名捺印がないと、境界の合意があったか同課が不明確ですので必ず署名捺印の入った地積測量図を入手しましょう。
また、そのような測量図がない場合には売主の責任と負担で立会い済みの測量図を作成してもらい、
境界には境界石やプレートをいれてもらうように依頼しましょう。
また、地積測量図を基にした境界線から塀、庭木の枝、建物のひさし等が越境していないか、逆に越境されていないかについても確認しておく必要があります。
設備
建物内部の設備については、図面で把握することが困難です。
例えばテレビや電気、電話のコンセントの位置は家具の配置に大きく関わってきますが図面だけではなかなか分かりません。
また、図面で見ていたよりも実際の方が柱や梁が大きく出ていたという事があります。
図面どおり窓があったが、隣家と接近しすぎていて開けることができないという事も。
マンションや建売の新築住宅、中古住宅を購入する際は、事前に室内の状況をしっかりチェックしておきましょう。
瑕疵(かし)について
瑕疵とは欠点や欠陥、一般的に備わっているべき機能の欠如という意味です。
土地
建物を建てる上での基礎となる地盤。
耐震性の観点から震度5程度の地震に対する安全性が求められるとする裁判例があります。
過去に行った地盤調査のデータを基にした地図を公開しているサイトがあるので、これを参考に調べてみるとよいでしょう。
また、産業廃棄物が地中に埋まっていたり、化学薬品で土壌が汚染されている場合に瑕疵を認定した裁判例もあります。
気になるようであれば、購入前に、土地の来歴についても調べた方がいいかもしれません。
さらに、土地には、建ぺい率、容積率、接道条件など様々な法令上の制限があり、
それらによって建てられる建物の大きさや形状が変わってきます。
当該土地にどのような法令上の制限があるかを調べて建物を建てる必要がありますが、調査については専門家に任せた方が確実です。
建物
中古建物については、雨漏りの有無、修理の履歴、設備の交換状況などを専門家に調査してもらうと安心です。
天井に雨漏りの跡があるかなど、一般の人でも気づけることもありますが、
設備に関することや、床下や天井裏などの調査は専門家でなければ難しいですよね。
シロアリにより浸食されていた場合はもちろん、天井裏に多数のコウモリが生息していた場合なども、瑕疵と認められますので、購入前の調査が重要です。
さらに、購入した建物でかつて自殺や殺人があったとなれば、心理的に住みにくさを感じますよね。
このような過去に起こった嫌悪すべき事態に起因する「心理的欠陥」も瑕疵となります。
中古建物の場合は、建物や土地の来歴について、売主からだけでなく、近隣の情報も含めて調べてみることが必要です。
マンション管理規約
マンションには、管理規約や使用細則が定められています。
ペットの飼育は可能なのか、またその場合の細則は?
事務所やエステサロンなどの事業目的での使用が認められているか?
リフォームをする場合の届け出の規定や、防音上の規制はあるのか?
管理人は常駐なのか日勤なのか?
など、マンションならではのチェックポイントがありますが、
マンションを購入しようとする場合は、あらかじめ管理規約等でこれらの内容を確認しておくことが必要です。
また、修繕積立金の積み立て状況や長期修繕計画、大規模修繕計画の有無や内容等についてもあわせて確認しておく必要があります。
違法建物・不適格建物
建物の中には、建築当初から(もしくはその後の増改築によって)、建ぺい率や容積率を超えているなどの違法なものがあります。
また、建築当初の法令では適法であった建物でも、その後の法令改正、新法の施行により現状の法令では不適格となっているものもありますので、現行の法令に適した建物であるか、確認することが必要です。
現行の法令に適していない場合、建て替える際に同等の建物を建てることができないことがあります。
法令上の制限(重要事項説明)
不動産を取り巻く法律には、開発・建築を規制する内容のものや取引を規制する内容のものなど、数多くあります。
不動産業者が売主である物件や、仲介した物件は、売買契約を結ぶまでにその物件や地域などに関する重要事項について説明した「重要事項説明書」を作成・交付し、都市計画法や建築基準法などの法令に基づく規制について書面を用いて説明することが義務付けられています。
重要事項説明は不動産に関する専門知識を有する宅地建物取引士が行わなければならず、重要事項説明書には宅地建物取引士の記名押印が必要です。
「重要事項説明書」には不動産や法律の専門用語が並ぶため、一度で理解するのは難しいこともあります。
重要事項説明が売買契約の直前になる場合は、事前に書類のコピーを受け取り、細かいところまで読んでおくといいでしょう。
重要事項説明時には、不明点を遠慮なく質問して、納得してから売買契約に進むことが大切です。
権利
取引の対象となる不動産にどのような権利が設定されているのか調査することは、
その不動産を他の権利による制限のない「完全なる所有権」として取得するうえでとても重要です。
ここでは、権利関係の確認方法について説明します。
・所有者の確認
売主が、購入を希望する不動産の正当な所有者であるか確認することが必要です。
一般的な確認方法としては、「登記簿」の確認があります。
登記簿は表題部(不動産の表示)、権利部(不動産の権利)から構成されており、権利部の甲区欄を見れば現在の所有者がわかります。
しかし、何らかの理由で登記簿に記載されている内容が事実と異なっていることもあります。
売主が登記簿に記載されている所有者と異なっているなど十分に信頼できない場合には、「権利証」や「購入時の売買契約書」など所有権が売主にあることを証明する資料の提示を求め、正当な所有者であることを確認することが必要です。
・そのほかの権利の確認
登記簿の権利部の乙区欄を見れば、「賃借権(その物件を借りている人がいる)」や「抵当権(その物件がローンなどの担保となっている)」など、所有権以外の権利が登記されているかがわかります。
通常の売買契約においては、「売主は売買の目的物件について買主の所有権の行使を阻害する一切の負担を除去抹消しなければならない」と定められています。
しかし、賃借権や抵当権が登記されたままでは、所有権の移転登記がなされても、他の権利による制限のない完全なる所有権を取得したことにはなりません。
これらの登記がいつまでに抹消してもらえるかをはっきりさせることが必要です。
「借地権」「借家権」など、登記されていなくても借主の権利として保護される権利もありますので、
登記簿だけでなく契約書や表札などで、これらの権利の有無についても確認しておくことが必要です。
まとめ
このように、不動産を購入する前に最低限確認しておくべきことがいくつかあります。
少し難しい内容になってしまった部分もありますが、後で後悔しない不動産取引をするために覚えておいてください。