照明(あかり)の考え方を変えるだけで楽しみは何通りにもなる

 

今まで私たちは、明るい照明=明るい家庭という考えに捉われ過ぎていたように思います。

あなたはどうでしょうか?

明るい照明・明るい部屋⇒明るい家庭に結び付くのは確かに分かりますが、あえてそこを外してみることで、あかりをさらに楽しむことができます。

 

本来の安らぎの光は黄色

色温度(いろおんど)という言葉をご存知ですか?

 

写真の世界ではよく出てくる言葉です。

また、蛍光灯や電球のCMで「あたたかさのある温白色」等といっています。

 

当然ですが、色の温度を言葉で表現してはいますが、色自体が暖かいわけでも冷たいわけでもありません。

そういった印象を持つ色の光ということです。

 

「黄色い光は暖かいイメージ」「白い光はクールなイメージ」

と言った方が分かりやすいでしょうか。

 

太陽の光は、朝の黄色い光から日中の白い光、そして夕方また黄色い光へと変化します。

暗くてモノがみえない夜よりも、明るい昼間のほうが活発に活動できるのは常識ですよね。

 

人は日中の白い光の下で活発に働き、

夕日が沈んだ後は、焚き火やロウソク、ランプなどモノを燃やすオレンジ色の光でくつろぎと安らぎの夜を過ごしてきたのです。

 

このことを裏付けるように白い光は心拍数の上昇、黄色い光は落ち着きを感じさせることが判っています。

 

つまり、人間にとって白い光は働く光、黄色い光は休む光なのです。

 

本当に安らぎやくつろぎを求めるのならば光の「色」を見直す必要があるのではないでしょうか。

 

くらいあかり

日常ではあまり意識しない夜の暗さを意識した瞬間、対照的に光は明るさを増します。

 

キャンプに出掛けた時、月や星の光をいつも以上に明るく感じたりした経験はありませんか?

 

このようにちょっとした非日常に身を置くことによって“暗さがあるから明るさがある”という単純なことに気付くのです。

 

一般的に人は明るい空間を良しとし、好む傾向があるように感じますが、いつもそうなのでしょうか?

 

昔、親に叱られた時になんとなく暗いところに身を置きたくなりませんでしたか?

 

このように気持ちが沈んだ時意外でも、一人じっくり考え事をしたりする時は明るいリビングではなく、自然と少し薄暗い静かなところへ足が向き、その方が落ち着くなと思ったりしませんか?

 

昔は外はもちろん、家の中でも見つける事ができた「暗がり」は現代にはめっきり少なくなった気がします。

家も職場も隅々まで明るく、どこでも新聞が読めるのが、明るさの常識のようになっていますよね。

 

明るさは日本経済の成長、豊かさの象徴のように思われてきました。

でも本当に「豊かな暮らし=明るい照明=明るい家庭」なのでしょうか?

 

日の出と共に働き、日が暮れると暗い安らぎの時間がやってくる。

 

覚醒と安らぎの繰り返しの中でこそ、健やかな精神が育まれるのではないでしょうか。

 

夜になっても明るい生活をすごす事でどこか、ひずみが必ず現れるように思います。

 

まずは「明るい照明=明るい家庭」という考えを捨てることです。特に家庭では、職場や学校とは違う環境が必要なのです。

 

夜は安らげる暗い夜を用意すること。これこそが本当の意味での「明るい家庭」への第一歩です。

 

 

ぽわっとした光の魅力と潜在的な部分のつながり

 

スイッチを入れればいつでも明るさを確保できる、一見便利なこのシステムがあかりを楽しむという文化を阻害しています。

 

ろうそくやランプのようなパワーの少ない光の時代のほうが、様々な工夫があったように私は思います。

 

あかりの楽しみ方は明るさだけではありません。

 

光の拡散、高さ、色味、照らしたり照らされたりする方向など、様々な要素があります。

それをひとつずつ変えてみることであかりの楽しさが発見できます。

 

まず、天井にある明るい照明を消し、部屋の隅のスタンドのスイッチを入れてみてはいかがですか?

天井、壁、床と明るくするところを変えてみるだけで雰囲気はガラッと変わるはずです。

 

そして光と光が交じり合い、部屋全体を照らす白い光でなくとも、意外と明るいことに気付きます。

こんな体験を通して子供たちにも「あかりっておもしろい。」という気持ちを芽生えさせて欲しいと思っています。

 

「明るければ良い」というのは、「おなかがいっぱいになりさえすれば良い」という食事とどこか似ているように感じます。

 

「あかりを楽しむ」ということは、豊かな住まいのあかりの在り方を見直すきっかけにもなり、それが家族や夫婦のつながりをさらに高めたり、見直すきっかけにもなるのではないでしょうか。

 

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