繰り上げ返済で住宅ローンの負担はどのくらい減らせるのか、様々なシミュレーションで検証してみました。
多くの人は住宅を購入する際に「住宅ローン」を組みますよね。
この住宅ローンのメンテナンスの代表格が「繰り上げ返済」です。
「繰り上げ返済」で借入金の元金を減らせば、利息の支払い額を抑えることができます。
これが「繰り上げ返済」の最も大きなメリットです。
では、実際にどの位お得になるのでしょうか?
3,000万円の借入金を35年で返済(元利均等)する場合を例に
様々なシミュレーションをしてみましょう。
(※シミュレーションは一例です。計算の仕方などによって値には差が出る場合があります。)
繰り上げ返済の種類による違い
繰り上げ返済の型には2種類あります。
一つは月々の返済額は変えず、返済の期間を短縮する「期間短縮型」。
二つ目は月々の返済額を減らし、返済期間は変えない「返済額軽減型」です。
①、借入金3,000万円、金利1%と設定
返済期間は 35年
月々の返済額は 84,685円
総返済額は 約3,557万円
利息総額は 約557万円
1年後に100万円の繰り上げ返済をすると
「期間短縮型」の場合
返済期間は 33年7カ月(1年5カ月短縮)
月々の返済額は 84,685円
総返済額は 約3,516万円
利息総額は 約516万円(約41万円減)
「返済額軽減型」の場合
返済期間は 35年
月々の返済額は 81,787円(2,898円減)
総返済額は 約3,539万円
利息総額は 約539万円(約18万円減)
このように、「返済額軽減型」よりも「期間短縮型」の方が利息を減らせる額が大きくなります。
ただ、以下のような人には「期間短縮型」をおススメします。
■将来の教育費負担などに備えるために、家計のキャッシュフローを調節したい人
■毎回の返済額が多くて負担に思う人
■将来は共働きでなくなるなど、将来の収入減に備える人
繰り上げ返済の額が大きいほど効果も大きい
上記①の条件で、1年後に200万円の「期間短縮型」繰り上げ返済をすると
返済期間は 32年3カ月(2年9カ月短縮)
月々の返済額は 84,685円
総返済額は 約3,479万円
利息総額は 約479万円(約78万円減)
繰り上げ返済の額が大きくなると、その分元金が減りますので、
元金にかかる利息も少なくなります。
繰り上げ返済は早い方が良い
では、上記①の条件で、5年後に100万円の「期間短縮型」繰り上げ返済をするとどうでしょう?
返済期間は 33年8カ月(1年4カ月短縮)
月々の返済額は 84,685円
総返済額は 約3,522万円
利息総額は 約522万円(約35万円減)
1年後では約41万円の減額が出来ていたので、繰り上げ返済は早い時期に行った方が効果が大きいという事がわかります。
繰り上げ返済は金利によっても違う
上記①では金利を1%と設定しましたが、金利が2%だとどう違うのでしょうか?
②、借入金3,000万円、金利2%と設定
返済期間は 35年
月々の返済額は 99,378円
総返済額は 約4173万円
利息総額は 約1173万円
1年後に100万円の「期間短縮型」繰り上げ返済をすると
返済期間は 33年4カ月(1年8カ月短縮)
月々の返済額は 99,378円
総返済額は 約4,078万円
利息総額は 約1078万円(約95万円減)
このように、金利を1%と設定した時よりも、利息総額の減額幅は倍以上になりました。
つまり、金利が大きい方が効果が大きく表れるということです。
借り換えも検討
「金利が大きければ繰り上げ返済の効果が大きい」と言いましたが、
繰り上げ返済をしない場合で比べても、金利の違いで総返済額に大きな違いがあるのが分かると思います。
もしも、借入当初より1%以上金利が下がっているようであれば、まず「借り換え」を検討することをおススメします。
住宅ローン控除
ローン残高の最高1%が10年間、所得税から控除される「住宅ローン控除」ですが、
これは12月末時点の残高で計算されます。
ですので、12月に繰り上げ返済をするよりは、翌1月にした方が若干お得と言えるでしょう。
ただ、(繰り上げ返済は早くした方が効果が大きいので)1月ずらしたことで効果が小さくなる部分もあります。
また、10年間の控除期間が終了してから繰り上げ返済をした方が良いという方もいますが、
「住宅ローン控除」と「繰り上げ返済」で得られるメリットは、繰り上げ返済の額や所得の額でかわってきます。
自身の所得とも照らし合わせて検討してみてください。
注意するべきことも
金融機関等によっては繰上返済金額に制限(10万円以上や100万円以上など)を設けている場合があります。
また、手数料の違い(1回あたり無料から数万円まで)もありますので、繰り上げ返済の際には、それらのことも含めて検討することが大切です。
そして、大事なのは「繰り上げ返済は余裕資金で行う」ということです。
将来の教育費負担増や、不測の事態で急な資金が必要になることなどを考えずに、
手元の資金をすべて繰り上げ返済に充ててしまうと、立ち行かなくなってしまう恐れがあります。
繰り上げ返済によって、余裕のある生活を目指していたはずが、
そのことばかりに囚われて、切り詰めた生活を送り、
毎日の生活がギスギスしてしまうと本末転倒でしょう。
まとめ
シミュレーションの数字は、計算方法によって多少の違いが出る場合があります。
今回の例を参考に、金融機関やファイナンシャルプランナーさんに相談してみるとよいでしょう。
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