【2022新春】関西の「十日えびす(十日戎)」とは?有名な神社もご紹介
関西にお住いの方には、年初めの行事として大変馴染み深い「十日えびす(十日戎)」ですが、他の地域の方にはピンとこない方も多いでしょう。
ここでは、十日えびす(十日戎)について説明したのちに、十日えびすで有名な関西の神社をご紹介します。
十日えびす(十日戎)とは?
我が国では福をもたらす神様として、七福神が大変有名です。七福神は、一般的には、恵比寿、大黒天、福禄寿、毘沙門天、布袋、寿老人、弁財天の七柱とされています。この恵比寿神は、恵比須神、戎神、夷神、蛭子神などとも表記されます。
そしてこの恵比寿様を祀る神社で、関西の正月に行われる年中行事が十日えびす(十日戎)です。恵比寿様は、最初は豊漁の神でしたが、時代を経るごとに市場の神、農業の神、そして商・工などあらゆる産業の守護神となっていきました。商人のイメージが強い関西らしい年中行事といえそうです。
十日えびすでは、境内で「商売繁盛、笹もってこい」のかけ声が飛び交い、参拝客で賑わいます。枝先に鯛や小判などの縁起物がついた福笹や熊手を売ります。笹そのものは無料で配っており、吉兆と呼ばれる縁起物の飾りを購入して、福娘の方につけてもらうというのが恒例です。
十日えびすで有名な関西の神社
恵比寿系の神社は、恵比寿信仰とともに日本中に広まっていきましたが、ここでは、恵比寿系神社の総本社でもある西宮神社をはじめ、十日えびすで有名な関西の神社を3つご紹介します。
西宮神社(兵庫県)
兵庫県西宮市の西宮神社は、全国に広がる恵比寿信仰の総本社で、祭神は西宮大神(蛭子命)です。1月10日の「本えびす」を中心に9日から11日までの三日間行われる十日えびすはもちろん、毎年テレビで放送される「福男選び」が行われることでも有名です。
「宵えびす」の9日の深夜12時にはすべての神門が閉ざされて「居籠り」に入り、10日の午前4時に「十日えびす大祭」が厳粛に行われ、この大祭が終わった午前6時に表大門(赤門)が開きます。福男選びはここからがスタート。表大門前には参加者が集まり、開門と同時に一番福を目指すために、境内をダッシュする行事となっています。
その歴史は古く、鎌倉時代から続く長い行事となっています。起源は、恵比寿様の信者の人が参拝をいち早くしようと競ったことだそうです。
また西宮神社の境内には、全国に恵比寿信仰を広めた傀儡子(人形使い)の始祖を祀る「百太夫神社」があり、1月5日には人形遣いの祭りも行われます。
今宮戎神社(大阪府)
大阪市浪速区にある今宮戎神社も恵比寿信仰の神社です。祭神は、天照皇大神(あまてらすおおみかみ)、事代主命(ことしろぬしのかみ)、素盞嗚尊(すさのおのみこと)、月読尊(つきよみのみこと)、稚日女尊(わかひるめのみこと)です。この中の事代主命が、恵比寿様にあたります。
今宮戎神社の鎮座地はかつては海岸沿いにあり、平安中期より宮中に鮮魚を献進していました。また、海辺で物資の集まりやすい土地ということもあり、海の幸と山の幸の物々交換の場、すなわち「市」が開かれるようになり、その市の守り神として、今宮戎神社の戎さまが祀られるようになりました。
江戸時代になると大阪は商業の町としてさらに発展し、今宮戎神社も大阪の商業をまもる神様として崇められるようになりました。十日戎の行事もこの頃から賑わいをみせ、今日と同じような祭礼となりました。
現在では、1月9・10・11日の三日間の祭礼で約100万人の参詣者があり、大変な賑わいをみせます。特に、本えびすの10日に行われる宝恵籠(ほえかご)行列では多くの人で賑わいます。
京都ゑびす神社(京都府)
京都市東山区にある京都ゑびす神社もまた、恵比寿様を祀る神社であり、前述の西宮神社、今宮戎神社とあわせて「日本三大えびす」と称されます。祭神は、八重事代主大神(やえことしろぬしのおおかみ)、大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)、少彦名神(すくなひこなのかみ)です。八重事代主大神が恵比寿様にあたります。
「商売繁盛で笹持って来い!」という掛け声とともに、吉兆笹が授与されることで有名なお祭りです。恵比寿様といえば商売繁盛の笹のイメージが強いですが、元来この京都ゑびす神社独自の「御札」の形態が広まったものです。11日の残り福祭では舞妓さんから手渡しされます。
『家に帰るまでが十日ゑびす』と言われれています。ですので、福笹を飾って帰るときに本殿横の壁をトントンと叩きます。これはたたき板と呼ばれており、ご高齢で耳の遠い恵比寿様に来たことを知らせるために行うとのことです。
まとめ
関西の年初めの行事として、毎年大変な賑わいを見せる十日えびす(十日戎)について、その歴史や関わりの深い神様を説明してきました。また、十日えびすで賑わいを見せることで有名な関西の神社を3つご紹介しました。
関西にお住いでない方も、これを機会に正月の関西へ出かけて、十日えびすを体験されてみてはいかがでしょうか。
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